プロの技量と言えば塗りの巧みさにあるのは言うまでもありませんが、塗りを行うまでの準備を万全に行うこともプロと素人の違いです。足場の設置、外壁の下地処理、養生といった工程にはっきりとその差が現れます。
最近では、外壁塗装でもピケ足場と呼ばれるフラットで広い安定した足場が使われることが多くなっています。それまでの2本のパイプを渡しただけの単管足場に較べ、安全に作業ができ、当然作業の効率や精度が上がります。
しかし、ピケ足場を組むには単管足場より多くの作業スペースが必要です。また、ピケ足場は設置の際にハンマーを使ってブランケットを打ち込む作業が必要になるので、現場によっては音の問題で使えない場合もあります。
この他、単管にブランケット(足場となる板)を追加して安定性を増した単管ブランケット足場も単管足場とピケ足場の中間的なものとして活用されています。建物の状況によってこれらの足場を選んで、または組み合わせて足場が組まれます。見積もりには当然どういった足場を組むことになるかも含まれますので、この点もよく確認してください。足場に関して実際作業に入る際に、足場の敷設で思わぬ追加料金が生じないよう、しっかりと見積もってもらうことが大切です。
外壁塗装の下準備として、次に重要となるのが下地処理です。外壁の場合、高圧洗浄機を使って高圧の水でサビや汚れや藻やカビを落としていきます。劣化した塗装面にはチョーキングと呼ばれる白、あるいは塗装色の粉が浮き出ていることがあります。これは塗膜の白亜化というもので、雨や風、紫外線の影響で塗膜が分解して粉になってしまう現象です。汚れや藻やカビもそうですが、このチョーキングが付着した状態でいくら塗料を塗っても、数年、十数年に渡って外壁を守る強い塗膜にはなりません。塗膜がしっかりと外壁と接着するためには、塗装面をできるだけクリーンにしておく必要があるのです。
しかし、外壁塗装に用いられるガソリンエンジン式の高圧洗浄機のパワーは強力で、藻やカビを落とそうと一点に集中して洗い続けると、塗膜どころかモルタルまで削ってしまうほどです。慎重なプロの仕事がここでも要求されるのです。
この他、下地処理は鉄部のサビ落とし、木部の下地調整など、根気のいる作業が続きます。そして周辺の保護や塗り分けのためのマスキングや養生を徹底して行って、ようやく塗装の作業に入れるのです。
>> Vol.07 いよいよ塗装!3度塗りが基本です。
2003年の資料を見ると(日本塗料工業界調べ)世界の主要国の塗料の生産量はアメリカが706万トン、中国が242万トン、ドイツが205万トン、日本がその次で178万トンとなっています。データが入手不能な一部の国がありますが、世界的に見ると、年間約2300万トンの塗料が生産されたと考えられています。ちなみに1990年の生産量と比較すると中国が260%と大幅な増進、アメリカ、ドイツも130%と伸長していますが、日本は残念ながら81%と低迷しています。