塗装業者が決まりいよいよ工事に入ります。しかし一口に外壁塗装と言っても完了までには多くの工程があります。今回はその代表的なものを総論的にとして紹介していきましょう。基本的な流れはこんな感じです。
外壁、木部、鉄部とも、基本は3度塗りです。塗装の劣化具合は、紫外線や雨の当たりやすさ等の外的要因に左右されますので、太陽光線を大量に浴びる南側が痛みやすく、北側の方が塗膜の状態が良いのが一般的です。場合によっては、北側の部分を2度塗りにしてコストを抑えるという選択肢も出てくるでしょう。また、木部、鉄部の劣化は外壁よりも早いので、丁寧な下地調整と3度塗りが必要となります。
さらに外壁に使う塗料、木部に使う塗料、鉄部に使う塗料はそれぞれ違いますので、見積もりの段階でどの塗料をどの部分に使用するのかもよく確認しておいてください。部位によって塗料を変えることは当然手間になります。同じペイントを使うことで手間を省こうとする施工者もありますので、これも見積もりを確認するチェックポイントになります。
逆に丁寧な施工者は、下塗り、中塗り、上塗りで違う色のペイントを使う場合もあります。これは3度塗りが間違いなく実行されていることの確認がしやすく、塗り残しのミスを起こさないための工夫です。塗膜の厚さは薄すぎれば当然強度や耐久性に悪い影響がありますし、厚すぎても美観を損なってしまうことになります。
塗りの回数を減らす手抜きは、残念ながら仕上がりでは素人目にはわからない場合がほとんどです。しかし、2度塗りと3度塗りでは塗膜の強度や耐久性は大きな違いとなりますので、10年保つはずの塗料が5年程度ではがれてしまったりという事態が起こります。たとえあなたが信頼できると考えた施工者でも、工程のポイント、ポイントで必ずあなたもチェックすることをおすすめします。
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昭和33年に完成した東京タワーは誰もに親しまれている東京のシンボル。象徴的な赤いペイントは、5年に一度塗り直されています。錆が発生する前に塗り替えるので、錆落としのために古い塗膜をはがすことはほとんどありません。竣工以来塗り重ねられてきた塗膜の厚さは約800ミクロンで実に新聞紙16枚分に相当します。こう考えるとスリムな東京タワーもずいぶん厚着をしていることがわかりますね。東京タワーの塗装面積は7万8000平方メートル。塗料の使用量は1回で20キログラム缶で1560缶になります。